2012年9月3日月曜日

広田海水浴場の砂

陸前高田市広田町にある広田海水浴場は、小さな森を挟んで田谷浜と大野浜という2つの浜で構成されています。
広田海水浴場の中心の浜だった田谷浜は海の家も数軒あり、常時監視員もいて、高田松原に次ぐ大きな海水浴場でした。
大野浜の方は、元々監視員もおらず、海の家もないので海水浴客は少ないのですが、混んでいないということで利用している方もいました。

その大野浜は県南地域では珍しく砂浜が半分ほど残りまして、今年の夏もお盆あたりを中心に多くの家族連れが海水浴を楽しんでいました。

↑大野浜の様子
(真ん中の森の向こう側が田谷浜)

県南の多くの砂浜は地盤沈下と津波により、ほとんど失われましたが、この大野や山田町の吉里吉里などわずかに砂浜が残されたところがあります。
大きな海水浴場だった高田松原や根浜海岸(釜石市)は完全に砂浜がなくなりましたので、残った浜は今となっては非常に貴重な砂浜の海水浴場です。

残念ながら、大野浜の隣の田谷浜は、波打ち際から50メートルほどあった砂浜が地盤沈下と津波により、堤防まで海となり、砂浜部分は高田松原同様に完全に消滅しました。



ところが、この4月くらいから田谷浜の砂が少しずつ集まっていまして、田谷浜の一番奥となっていた水門付近には砂浜が形成され始めています。

↑田谷浜に砂が見える

田谷浜も少しは「浜」と呼べるような状況になっているので嬉しく思います。
ただ、地盤沈下はどうしようもなく、砂が集まってきても、逆に堤防の名残の構造物に邪魔され、どれくらい露出できるかは微妙であり、今後の自然の力に期待したいところです。

海を見て思うのは、震災以前より明らかに海水がキレイになっていることです。
この広田海水浴場は高田松原よりもキレイとは言われていましたが、それでも少し濁りがありました。
今は透明度も以前より上がり、今こそ海水浴をしたいと思うくらいです。

しかし、大野浜は監視員さんもいませんし、自己責任での浜遊びになりますので、大手を振って海水浴を勧めるものではありません。
それでも、こうして砂浜が残っていることに嬉しくなりますし、海水浴客が集まっていると「昔みたいだな」と、『夏のワクワク感』を感じたのも事実です。

高田松原もこうやって少しずつ砂が集まり、また海水浴ができるくらいに戻ってほしいと思います。
松原付近の公園建設予定のイメージイラストを見たら、砂浜も描いてありましたので、砂を運んできて復活させるのだと思いますが、それまでに砂が集まり、元の砂もそこに多く混じってもらえたらなぁと思います。

人間の手による復旧は少しずつ進んできましたが、安全な生活が送れる復興にはまだまだ遠い状況です。
人間の手だけではなく、自然の力によっても少しずつ景観が元に戻れば、市民の心の癒しになると思います。自然、頑張れ!